【相談】父が残した遺言書に納得できない(弁護士よりのアドバイス)
父が亡くなり、相続人は兄妹二人だけです。父の遺言書には「全財産を兄に与える」と書いてありました。妹の私は何も相続できないのでしょうか?(名古屋第一法律事務所の事例より編集)
被相続人(亡くなられた人)の配偶者、子、(親)には「遺留分」が認められています。遺言書は被相続人の生前の意思として尊重されますが、残された家族の生活保障などの目的で、最低限の財産を取得できるようにしたものが遺留分制度です。
今回のケースでは、相談者は兄に対して、遺留分(法定相続分※の1/2、つまり全遺産の1/4)について「遺留分侵害額請求」をすることができます。
ただし、遺留分の侵害を知った日から1年(もしくは被相続人の死亡の日から10年)以内に行使しなければ権利を失ってしまいます。
※「相続人の範囲」や「法定相続分」は、民法で定められています。
(1) 相続人の範囲
① 亡くなられた人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
② 第1順位:子供
③ 第2順位:父母・祖父母(直系尊属)
④ 第3順位:兄弟姉妹
上の順位の相続人がいれば、下の順位の人は相続人になれません。
また、被相続人が死亡する前に子や兄弟がすでに既に死亡している場合は、その子(孫や甥姪)が相続人となります。
相続人になれるのは戸籍上の配偶者に限られますので、内縁の妻・夫は相続人になれません。
(なお、亡くなられた人の兄弟姉妹が相続人となる場合には、遺留分は認められていません)
(2) 法定相続分
① 配偶者と子供が相続人 :配偶者1/2、子供1/2 (2人以上のときは全員で)
② 配偶者と直系尊属が相続人:配偶者2/3、直系尊属1/3 (2人のときは合わせて)
③ 配偶者と兄弟姉妹が相続人:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 (2人以上のときは全員で)
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コープあいち