知ってほしい「生産者の今」 トーアス株式会社 ~CO・OP ひじきドライパック~
身近な商品値上げの中で、コープの商品を生産してくださっている生産者のみなさんの「今」をレポートしました。(最終回)
「生産者の今」トーアス株式会社(愛知県豊川市) ~CO・OPひじきドライパック~
おいしさをシンプルに味わえる素材感
■国産の天然ひきじの現状
▲左から藤 夢歌さん、清王雅彦さん
トーアス株式会社は30年以上ドライパック缶詰を製造する会社です。「CO・OPひじきドライパック缶」で使用しているひじきは、大分県や長崎県など九州地方の産地のものが中心です。現在国産はわずか10%ほどで、日本で消費されるひじきのほとんどが中国・韓国からの輸入です。
国産の天然ひじきは、海水温の上昇など温暖化による環境の変化や、人手のかかる収穫・乾燥の作業による後継者不足で収穫量が年々減少しています。そのため国産のひじきの相場は上がってきており、値上げをせざると得ないのが現状です。缶詰の容器資材の価格高騰に加えて、エネルギー費や物流費の上昇という要因も重なり、ドライパック商品全体の製造費用は大幅に上昇しています。
ひじきの漁場はごつごつとした岩場が多いため、収穫は負担がかかりますが、生産者はおいしいひじきをみなさんに食べてもらえるように努力しています。
毎年春頃、干潮の時期に合わせて、岩場に張り付いたひじきを収穫する
天日干しにして乾燥させる
■おいしく、便利で長期保存ができるドライパック
「ドライパック」とは、水戻ししたり軽くボイルした素材を、容器に詰めて密封し、素材に含まれる水分を使って蒸し上げる製法です。水に浸っていないため、うま味や風味が水に溶け出すことがなく、素材本来の風味・食感を楽しむことができます。
▲乾燥したひじきを水戻しした後、異物がないか人間の目でしっかりチェック
▲缶の中の空気を抜きながら密封。大切なポイント
▲温度を上げて徐々に加熱。温度をキープしながら蒸し上げる
ドライパックの最初の商品は「CO・OP大豆ドライパック缶」です。1988年日本生活協同組合連合会と共同開発で誕生しました。2023年、発売35周年を迎えるロングセラー商品です。
今でこそ多くの組合員のみなさんに利用されていますが、販売された当初はなじみがなく、思うように利用がひろがりませんでした。しかし、全国の共同購入※の場や試食交流会の場で商品の良さが口コミで広がりました。現在は「ドライパックシリーズ」として、ひじき、大豆以外にも、スイートコーン、ミックスビーンズなどラインナップも拡大。小容量タイプでごみ処理がラクなパウチもさまざまな商品を製造しています。
※3世帯以上の組合員で「班」をつくり、コープ商品を購入する仕組み。
■ちょっとの時短が強い味方。災害時のストックにも
家庭でひじきの煮物を作るとき、乾物ひじきを水戻しして調理します。水戻しには手間や時間もかかり忙しい方の悩みの種になっています。ドライパックなら、水戻しの必要がなく、開けてそのまま食べたりそのまま料理に使えるのでとても便利です。
しっかり密閉・密封された缶詰は、3年間保存が可能です。万一の災害が発生したとき、食べ慣れた食品を食べることで安心感を得られるようにするローリングストック※としても頼りになる商品です。 ※賞味期限が長めの食材・加工品を少し多めに購入し、使った分を買い足しながら備蓄すること
今後もみなさんとの交流の中で、よりよい商品を伝えていきますので、よろしくお願いします。
(2023年6月取材)
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