【相談】「遺産分割協議」に期限が設定されました! 弁護士よりアドバイス
遺産分割協議がまとまらず、相続登記が行えないなどで、「所有者不明の土地」が増えています(2017年国交省調査では、国土の約22%が所有者不明土地)。対策として民法が改正され、今年4月1日より施行されました。以下、代表的な改正点を紹介します。
1, 遺産分割協議に期限を設定
原則として、相続開始の時から10年間で協議がまとまらない場合、「法定相続分」または遺言による「指定相続分」で遺産分割することとなりました。
改正前民法では、遺産分割協議には特に期限は設けられていませんでした。しかし、改正民法では、生前贈与分や介護の貢献分などに配慮した「具体的相続分」を主張できる期限が、相続開始の時から原則10年間と定められました。
2, 所在不明相続人に対応した共有制度の変更
遺産分割前の共有土地・建物の場合、改正前民法では、軽微な変更(砂利道をアスファルト舗装にすることや建物の外壁や屋上の防水等の大規模修繕工事)でも相続人全員の合意が必要でしたが、改正民法では、軽微な変更については相続人の多数決(持ち分の過半数)で決定できるようになりました。
また、所在不明の相続人の不動産の持分を取得・処分できる裁判制度を新設。相続開始から10年が経過すれば、所在等不明相続人がいても共有財産の取得・処分が可能になりました。
3, 隣地使用権の見直し
各種ライフライン(水道やガス)を引き込むことができない土地の所有者は、隣地などにその引込みのための設備の設置などをすることができると明文化されました。
また、改正前民法では、隣地の竹木の枝が越境してきた場合、自ら切除することはできず越境した竹木の所有者に切除させる必要がありました。改正民法では、催告の後、自分で切除することができるようになりました。
4, 財産管理制度の新設
利害関係人が申し立てることによって、裁判所が「所有者不明土地・建物の管理人」や「管理不全状態にある土地・建物の管理人」を選任する制度が新設されました。
今回の改正民法の中には、過去にさかのぼって適用されるものもあります。また、2024年4月1日からは相続登記も義務化されます。
遺産分割協議が滞っている方や共有状態の建物・土地を活用したいと考えている方、隣地の土地・建物が管理不全で困っている方など、早めに専門家と相談してはいかがでしょうか?
(名古屋第一法律事務所より)
ご参照ください:
【相談】相続した不動産の名義変更(相続登記)がまだですが?(司法書士よりアドバイス)→
コープあいち「くらしの相談室」 052-781-6176
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