おいしくって安全なお話2024年47号(農薬の安全性はどうやって確認されているの?)
東海コープの商品検査センターでは、農産物の残留農薬を検査しています。高温多湿の気候の日本では特に、農薬を使わずにすべての農産物をつくるのは難しい状況です。だからこそ、検査で状況を確認しているのですが、使用された農薬は検査で残留が確認されることがあります。農薬が残留していたとしても、その農産物は安全と言えるのでしょうか。今回は農薬の安全性がどう確認されているのかをお伝えします。
●産地では農薬がたくさん使われている?
農薬は生産者の栽培管理を効率化できる資材ですが、だからといって多く使えば良いわけではありません。散布するときには農薬が降りかかるため、散布する人にとっての健康被害の心配もあります。また、農薬は価格が高く使うだけコストがかかり、不確かな農薬を使用すれば作物への薬害のリスクもあります。さらに農薬が過剰に残留し、基準値違反が見つかれば、罰則や販売できなくなる可能性があります。
このように、農薬を必要以上に多く使うことは農家にとってもメリットがありません。
●生協の検査結果
実際に農産物にどのくらい農薬が残っているのか、私たちは自分たちの検査センターで検査することができます。検査結果から、残留農薬はほとんどの作物で基準値の1/10以下の検出に留まっており、安全性に問題がないことを確認しています。この時参考にしている基準値は国が設定しているものですが、基準値の設定の際、安全性はどのように確認されているのでしょうか。
●安全性の確認は農薬の有効成分の一つ一つに対して行われます
一言に農薬といっても葉についた虫を殺す成分、病気を引き起こす菌を殺す成分など、様々な成分があります。その一つ一つについて、食品安全委員会(化学物質の安全性を確認する専門家が集まった機関)が安全性を確認しています。安全性の確認は、動物実験のデータが元になっていて、この中には発がん性や遺伝毒性(DNAに及ぼす影響がないか)、神経毒性、体内への蓄積性なども含まれています。
このようなプロセスで人に対する安全性が確保された場合にのみ、その農薬の使用が国で許可されます。許可されていない農薬は販売も使用もすることができません。この時、産地の農産物に対するその農薬の使用方法も定められ、残留していたとしても安全性に問題がない量として基準値が設定されています。
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