おいしくって安全なお話2024年15号(ゲノム編集とその技術応用食品について)
私たちが今食べている農産物は、人間の手によって品種改良されてきたものです。
昔は酸っぱかったいちごも品種改良によって美味しくて甘い、いちごとして流通しています。
これまでの品種改良は、交配や突然変異などにより行われ、とても長い時間がかかります。そこで、近年新しい技術として注目されているのが、「ゲノム編集」です。
今回は「ゲノム編集」とその技術を応用した食品についてお話しします。
●そもそも「ゲノム」って何?
生物を構成する1つ1つの細胞には、「DNA」と呼ばれる遺伝物質があります。「DNA」の中で、機能をもつ部分を「遺伝子」と呼び、その情報にそって生物の形や性質の違いなどが決まるタンパク質がつくられます。
つまり、「遺伝子」が変化すると、生物の性質が変化するわけです。「ゲノム」とは、「遺伝子」ではない部分も含むDNA全体を指します。
●ゲノム編集技術とは
ゲノム編集技術は、いくつもある遺伝子の中から狙った遺伝子に変異を起こさせる技術です。(ゲノム編集技術についての説明動画(約1分40秒))
●遺伝子組換えとは違うの?
遺伝子組換えは別の生物の遺伝子を挿入する技術です。これに対して、ゲノム編集技術は、その生物がもともと持っている遺伝子を変化させる方法です。
●ゲノム編集技術応用食品
ゲノム編集技術を応用した食品は、厚労省に事前相談を行います。最終的に従来の品種改良の範囲内のものは届け出、それを超える遺伝子の変化のものは遺伝子組換え技術に該当し、安全性審査の対象となります。ただし、現時点で審査対象となるものはありません。
●ゲノム編集技術応用食品の表示
現在流通しているゲノム編集技術応用食品は、自然界で起こる変異と結果が同じなので、その変異がゲノム編集で行われたものなのか、科学的に検証できる方法がありません。そのため、表示の義務化はされていません。ただし、消費者庁は積極的な情報提供を呼び掛けており、現在流通されているものは、いずれも表示されています。
東海コープでは現在、取り扱う予定はありません。
引き続き、分かりやすく正確な情報発信を続けていきます。
東海コープホームページに「おいしくって安全なお話」のバックナンバーがあります。
東海コープ