家庭でできる食生活の取り組み‐金城学院大学の学生さんと共同研究をしました‐
商品検査センターでは、みなさんにお届けする商品の検査の他に、食の安全安心に関する学習会や地域の中学校の授業に協力したりしています。
今回、金城学院大学 食環境栄養学科の学生さんと共同研究をしたので、その内容をお伝えします。
<食塩についての研究>
◎研究1 麺類の調理加工の違いによる食塩量の変化
この研究では、A冷凍うどんをお湯で調理した場合とレンジ調理した場合の食塩量の変化の違い、
Bインスタント袋ラーメン、インスタントカップラーメンを表記通り調理と麺のみ別茹でした場合、の2つのケースの食塩量の変化を調べました。
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食品 |
調理方法 |
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A |
冷凍うどん |
①パッケージの 表記通りお湯で調理 |
②表記通りレンジで調理 |
B |
インスタント袋ラーメン |
①パッケージの 表記通り調理 |
②麺のみ別茹でし 湯切り後スープと 合わせる |
インスタントカップラーメン |
A冷凍うどんは①お湯で調理のほうが麺に含まれる食塩量が少なくなりました。
Bインスタント麺は②麺のみを別茹でする方が食塩を減らすことが出来ます。
食塩はスープだけでなくコシを出すために麺にも含まれており、茹でることで食塩が溶出したと考えられます。
同じ麺でも調理法を少し工夫することで、摂取する食塩量を減らせることがわかりました。
◎研究2 麺類の茹で前後による食塩量の変化
この研究では、麺(うどん)の加工状態(茹で・冷凍・乾)の違いによって、茹でる前後
の食塩量の変化を調べました。結果は以下の通りです。
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茹で麺 |
冷凍麺 |
乾麺 |
1食分の 食塩量 |
茹で前 |
0.58g |
1.28g |
4.39g |
茹で後 |
0.28g |
1.13g |
1.75g |
乾麺は製造工程における急速な乾燥を防ぐために他の加工状態に比べてもともとの塩分が高く、
また茹でることにより最も食塩が抜けやすいことがわかりました。
一方で、茹で麺と冷凍麺は一度茹でて既に食塩が溶出したものを製品化しているため、更に茹でても食塩の減少が少なかったと考えられます。
加えて、冷凍麺は冷凍により麺が硬化していたことで中心部の食塩が溶出しにくかったことも、
食塩の減少が少なかったことに影響していると考えられます。食塩濃度は麺の表面よりも中心部の方が高いという性質があります。
加工状態により、1食分の食塩量は異なりますが、
いずれもパッケージの記載通りたっぷりの水を使用し時間通り茹でることで食塩摂取量を減らすことが出来ます。
※商品によって1食の食塩量は異なります。商品のパッケージに記載されている栄養成分表示で食塩相当量を確認できます。
どちらの研究も学生さんたちが実験の組み立てや調理等を行い、検査センターでは機器
を使用し、食塩量の測定をしました。
<食品ロスについての研究>
◎研究3 ブロッコリー未利用部位の有効利用を目指した調理方法の検討
ブロッコリーは廃棄率35%と他の野菜に比べて高く、そのほとんどが茎です。
茎を活用することで廃棄率を大きく減らすことが出来ます。ただ、茎の部分は臭みや硬さがあります。
学生の皆さんの研究では、より美味しく茎を活用できるように、食べやすい調理法の検討も行われました。
【検討されていた調理法】
✿ブロッコリーのオムレツ
✿ブロッコリーのチーズリゾット
卵やチーズを使用することで青臭さを感じにくくなりました。
また、茎を細かく刻んでいれることで硬さも感じにくくなります。
✿ブロッコリーのフライ
揚げることで硬さが気にならなくなりました。
臭みもなく、ブロッコリーの甘さを感じることができました。
ブロッコリーに関わらず、野菜にはビタミンやミネラルが含まれています。
検査センターでは花蕾と茎のミネラル(カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム)の量を調べました。
その結果、茎はゆで調理によるミネラルの損失が少ないことがわかりました。
花蕾部と同じように茎部も食べることで、より効率的にミネラルが摂取できます。
食事は私たちの生活に必要不可欠です。
美味しい、楽しい食事はもちろんですが、食塩の過剰摂取や食品ロスなどひとりひとりが考えなければならない問題もあります。
今回の研究はそんな問題に家庭で取り組みやすい対策を提案することを目的としています。
今回の研究で終わりではなく、今後も学生のみなさんと一緒に問題について取り組み、その内容を組合員のみなさんに情報提供をしていきます。
東海コープ