おいしくって安全なお話2024年4号(食品中の放射性物質の現状は?)
東日本大震災から10年余りが経ちました。最近では処理水の報道もあり、食品への影響を疑問に感じる声も聞かれます。今回は、放射性物質の現状をお知らせします。
●放射性物質の検査では、検出しない結果が続いています
東海コープでは福島第一原発の事故後から放射性物質検査を続けています。事故当初は基準内で放射性物質が検出されることもありましたが、2014年以降は検出された事例はありません。また、全国の生協で実施したご家庭で調理した食事の放射性物質検査でも、同じく2014年から検出されない結果となっています(2011年から2020年までの検査件数は約3000件)。現在流通している食品は、心配していただく必要はありません。
●処理水の安全性もきちんと管理されています
2023年9月の海洋放出で話題となった処理水は「ALPS処理水」と呼ばれ、福島第一原発の建屋内にある放射性物質に汚染された水をALPS設備で処理し、トリチウム以外の放射性物質を基準値以下に浄化したもののことです。
・トリチウムが放出されても大丈夫?
トリチウムは水素によく似た成分で自然界にも存在し、雨水や水道水にも含まれています。また、稼働中の世界中の原発から海洋に排出されている成分で、各国の法令を守って行われています。福島からの排出も他の原発から排出されるものと同等の濃度です。
・なぜトリチウムは浄化できないのですか?
そのほとんどが水とほぼ同じ性質の「トリチウム水」として存在するので、水と分離することが難しく、トリチウム以外の放射性物質を除去可能APLS施設でも除去することができません。
・トリチウムは生物濃縮されませんか?
水と同じようにほとんどが生物の外に排出され、体内に蓄積することはありません。これまでの研究結果で、生物濃縮を起こすことは確認されていません。
・水産物への影響は調査されていますか?
国の調査で海水、海産物等を測定対象として検査しており、現時点で問題となる結果はありません。
このようにトリチウムは問題がないように管理されています。東海コープの検査では放射性セシウムの検査を継続し、今年度は水産物の放射性物質の検査を強化してALPS処理が適切にされているかを確認しています。
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