知ってほしい「生産者の今」 丸千水産 ~ブラックタイガーえび~

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知ってほしい「生産者の今」 丸千水産 ~ブラックタイガーえび~

身近な商品値上げの中で、コープの商品を生産してくださっている生産者のみなさんの「今」をレポートしました。 

「生産者の今」丸千水産(愛知県蒲郡市) ~ブラックタイガーえび~

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▲(左)千賀昭政(せんがあきまさ)社長、(右)中野光(なかのひかる)さん


組合員に人気のブラックタイガーえびは、インドネシアのタラカン島で養殖したえびをお届けしています。環境への負担が少ない粗放そほう養殖で稚えびの投入数を制限し、環境に負荷をかけない自然に近い状態で育てています。餌を与えないので池が汚染されず、抗生物質などを使う必要がありません。水揚げ後は鮮度のよいうちに加工・下処理をするため、えび本来のうま味を感じられます。産地1回凍結(シングルフローズン)で、捕れたての鮮度を維持したまま、使いたい分だけ取り出せるバラ凍結でお届けしています。

画像B ブラックタイガーえび 大 下ごしらえ済み 500g.jpg

産地の環境を保護するために、2007年よりマングローブの植樹活動を行っています。2009年からは生協も植樹活動に参加し、ブラックタイガーえびを購入すると、環境基金として1品につき1円が積み立てられ、マングローブの植樹の費用となっています。

画像C マングローブ植樹  トリミング.jpg
▲マングローブの植樹 2009年から東海コープ事業連合※と共に植樹を行っている
※東海三県の3つの生協と協同して事業や活動をすすめ、より価値の高い生協を作り上げていく組織



■ブラックタイガーえびの今の背景 

2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、ブラックタイガーの生産が減少したものの、アメリカや中国による消費国のロックダウンで需要が大きく減退し、商品価格が上がることはありませんでした。しかし、翌年には各国の脱コロナの動きによる、外食需要の回復でブラックタイガーえびの需要が急激に増加し、産地のドル貨(※1)が急上昇する結果となりました。コロナ感染拡大の影響は、資材代、副原料(※2)、石油代の上昇や、世界的なコンテナ不足によるフレート(海上運賃)の価格高騰にもおよび、製品のコストアップに拍車がかかりました。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、世界的な金利上昇が急激な円安を招き、約30%の製品の価格上昇につながっており、過去に見ない円安となっています。

※ 1ドル貨…1ドル当たりの現地通貨の価格  ※ 2副原料…パン粉、小麦粉、油などの原料のこと

ブラックタイガーえびの輸入量では、日本を大きく上回るアメリカ市場が価格をリードしているため、日本の意向が通りづらく、製品の大幅なコストアップが止まらない状況です。水産業には「これをやっておけば大丈夫」がありません。世界のどこかで、くしゃみをしたら風邪をひくような、何か起きたときにはどうしても影響が出てしまいます。




■地球温暖化で魚たちがピンチ!? 

サバやイワシなどの天然水産資源も、「地球温暖化による水温上昇」「他国との漁獲競争」などにより我が国における水揚げ量が減少しています。コープ宅配でも人気のある「サケ」「サバ」「サンマ」「イカ」などは、漁獲数量もさることながら、魚体の小型化や食味の低下が見受けられ、「おいしい魚」を確保することが難しくなっています。

水の温度がたった1度上がるだけでも、魚たちにとっては人の体温が10℃上がるのと同じような状況になってしまいます。今まで捕れていた場所に魚が来なくなり、魚を捕りに行くために20度沖に漁獲場所を変更するだけでも70時間(3日)かかってしまいます。そのため、鮮度や燃料問題にも悩まされています。

地球温暖化イラスト.jpg
また最近は、夏が終わると秋を通り越して冬が来てしまいます。紅葉(落ち葉)がないと、山が水を蓄えないので、川から流れてくる水は栄養が含まれないまま海に流れてしまい、魚の成長に大きく影響します。実はこの山から流れてくる水には、海水温を下げる効果もあるため、温暖化は水温の上昇の他にも、さまざまな環境の中で影響を及ぼしています。

■顔を思い浮かべながら商品づくりを 

魚の捕れる量が限られてくると、他国との競争の中で買付けが難しくなります。また、日本の水産市場自体が縮小してしまい、魚が回りにくくなります。燃料高騰や資材高騰、円安や漁獲量問題と水産関係は厳しい状況に立たされていますが、それでも、品質・おいしさを保ちながら一定の魚の量を確保するには、みなさんに「食べ続けてもらうこと」が大切です。コープあいちの組合員は、「魚をこうやって使ったらおいしく食べられるよ」と新しい食べ方を教えてくれますし、他の組合員にも広げてくれます。時代とともに、みなさんの食卓で食べる魚のシーンが変わりつつあります。そういったシーンに敏感に対応して、みなさんがおいしい魚を食べられるように商品の提案をしたいと考えています。私たちは、組合員一人ひとりに感謝する気持ちで、利用してくれるみなさんの顔を思い浮かべながら、おいしい魚を届けていきたいです。 
(2022年10月取材)


そのほかのくらしを支える「作り手たち」もご覧ください♪ 組合員情報誌「ウィズコープ」では11月号より、その他の生産者のみなさんを紹介しています。

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