ウィズコープ9月号 「りんご・梨」 取材こぼれ話
ウィズコープ9月号vol.291
いいモノ いいコト いいトコロ ~りんご・梨~ 取材こぼれ話
みなさん、「ウィズコープ」9月号は読んでいただけましたか? コープあいちこだわり商品の “つくりての思い” をお伝えするコーナー「いいモノ いいコト いいトコロ」は、 果樹生産者グループ、Fエース農園のりんごと梨を特集しました。1974年から半世紀のお付き合いがあるFエース農園。生産者のみなさんの「安全・安心でおいしい果物を届ける」という思いで、丹精込めて栽培されたりんごと梨です。ぜひご賞味ください。
Webサイトでは、本誌でご紹介できなかった取材こぼれ話を掲載します。
こぼれ話
りんごの「蜜」って?
「蜜が入ってるよ」りんごの季節になるとよく耳にする、この言葉。他の果物では聞きませんよね。この「蜜」って、一体何もの?
光合成によって葉で作られたソルビトール(糖アルコール)は、果実の中に送り込まれ、酵素の働きによって甘さのもとになる「果糖」「しょ糖」「ブドウ糖」に変えられます。やがて果実の細胞内に糖が入りきらなくなると、ソルビトールは果糖やしょ糖へ変わることができなくなり、細胞と細胞の隙間にたまって水分を引き寄せます。これが「蜜」の正体です。
蜜そのものはあまり甘くないのですが、蜜が入ったりんごは甘み成分がたくさん含まれ、熟度がすすんだことを示しています。蜜は収穫後しばらく保存しておくと果肉に吸収されて見えなくなることがあります。また、りんごの種類によっては、蜜が入らないこともあります。
果樹栽培が盛んな松川町
Fエース農園がある長野県下伊那郡松川町は、中央アルプスと南アルプスの間の大きな谷、「伊那谷」の真ん中にあります。長い日照時間と適度な寒暖差を生かし、果樹栽培の歴史は100年以上で、「くだものの里」として知られてきました。
りんごの他にも、梨・サクランボ・ブルーベリー・桃・ぶどう・すももなど、多くの果樹を栽培しています。
Fエース農園も、コープあいちの南水、二十世紀、幸水、洋ナシのラ・フランスを栽培しています。収穫後の追熟(収穫後、一定期間おいて成熟させること)で甘みが増してくるラ・フランスは食べごろを見極めるのが難しい果物。軸の周りを押してみて柔らかくなったら、それが食べごろです。
ちなみに、松川町の町の花は「梨の花」だそうですよ。
今年のりんご
取材にFエース農園を訪れたのは6月末。摘果も終わり、青いりんごが大きくなり始めていました。矢沢さんからお話を聞く中で「自然を相手にしているので、天候に左右されることがあり、いくつもの困難を乗り越えなければならない」とお聞きしました。
果樹被害で多いのが「凍霜害(とうそうがい)」。春先、果樹の花が咲くころに低温になって霜が降りると低温障害を起こしてしまいます。りんごの場合、花が凍り、めしべが凍ってしまうと実がつかなくなってしまうそうです。今年の春は気温が低く、梅雨明後も長雨が続きました。天候不順が続くと、色付きが悪くなったり、日持ちがしなくなるそうです。
9月、そろそろFエース農園のりんごも赤くなり始めているころでしょうか。今年も、みなさんのもとへ、おいしいりんごが届きますように。
2代目松尾さんとお父さん
今回、野菜ソムリエとして、レシピを提供してくださった生産者の松尾さん。果樹園の2代目です。松尾さんのお父さんは、同じく生産者の矢沢さんと一緒に、長くFエース農園を支えてきました。
昔は、出荷する1カ月前に農薬の散布を取りやめていたため、寄ってくる害虫のカメムシを駆除しなければいけませんでした。矢沢さんと松尾さんのお父さんは、早朝カメムシの動きが鈍いときに、梨の棚を揺すってカメムシを落とし、駆除していたそうです。広い果樹園で1本ずつ行うことは、それはそれは大変だったそうです。手作業での害虫駆除では間に合わず、農薬を辞めることで病気にも侵されてしまうため、その後、Fエース農園のみなさんは、フェロモントラップを使って害虫の繁殖を抑えるなどして、農薬の使用量を減らすことに成功しました。
本誌に掲載したm焼きりんごのレシピ。もちろんネーミングはレシピ考案者の松尾さんです。焼きりんごのレシピ名にABC? 実は、「A」はアーモンド、「B」はバター、「C」はシナモンだそうです。最後の「Cな林檎」を続けて読むと…しーなりんご…しいなりんご…椎名林檎?!
松尾さんいわく、「椎名林檎さんの音楽を聞きながら食べれば、さらにおいしいかも」とのこと。お試しあれ!
ウィズコープ9月号 vol.291 ~いいモノ いいコト いいトコロ~
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