侮れない台所シンクの水はね問題!
台所シンクで野菜を洗ったり食器を洗ったりするとシンク周りが水はねでびちゃびちゃになっていること、ありますよね。この水はねが食中毒の原因となってしまう恐れがあることをご存じですか?
飛び散った水は菌を運んでしまう恐れが
実は台所シンクの中は多くの菌が潜んでいる可能性がある場所です。
生肉や生魚などを扱った調理器具には食品由来の食中毒菌がついている可能性もあります。実際にシンクについていた食中毒菌がサラダに移ってしまったことによる食中毒事例もあるので侮れません。
○生肉からサラダに食中毒菌が移って食中毒が発生した例
平成25年、ある給食施設で数十人から発熱や腹痛を伴う食中毒が発生しました。
原因は豚肉由来の細菌でしたが、原因食品は豚肉を扱ったシンクで調理をした「野菜サラダ」でした。加熱用の魚介類や生肉は、特に腐ってはいなくても、食中毒菌がついている可能性があります。こうした食品をシンクで処理した後に、生で食べるサラダ用の野菜などを同じシンクで洗ったり切ったりしたことで食中毒菌が野菜に移ってしまったことが原因でした。
この食中毒事例のように、洗い物で飛び散った水には、食中毒菌がついているかもしれません。特にお弁当や作り置きする調理品など、作ってから食べるまでに時間がかかるものに食中毒菌がつくと、食べるまでに菌が増殖してしまい、食中毒につながる恐れがあります。
そこで、キッチンではどれくらい水が跳ねているかを実験した結果と、シンク周辺で気を付けたい食中毒の対策についてお知らせします。
調査方法
「水に触れると色が変わる試験紙」を使って、調理器具(鍋、フライパン、まな板、ボール、包丁)を洗うときにシンク(幅約65cm)の左右、前面にどれだけ水が飛んでいるのかを確認しました。⚫︎の位置に水はねあり。
※ご家庭ごとのシンクの大きさ、水流の強さによって差があります。今回実験した水道は比較的弱めの水流です。
一例としてご覧ください。
「飛び散っている様子の動画はこちらから」
この結果からわかること
・左右はシンクから35cmの距離までは水が届いており、離れた位置では手前側の方が水が飛び散りやすい。
→シンクのすぐ近くでなくても、洗い物中にお弁当などを置いておくと跳ねた水がかかる恐れがあります。
・前方にも広く飛び散っている。
→調理台や水切り場がどちらの方向であっても水はねが届いている恐れがあります。
シンクを使うときに気をつけたいポイント
ポイント1. 洗い物をするときには、シンク周りに作ったお弁当を置かない。
- 作ったお弁当や洗い終わった食器は、シンクから離して置くか、片付けましょう。
ポイント2. 調理後にはシンク・周りを洗浄・消毒しましょう。
- 洗浄方法:食器洗い用のスポンジと別のスポンジを使い、食器洗い用洗剤でシンク内を洗浄します。菌を含んだ汚れや油をしっかり洗い流すことが重要です。
- 消毒方法:排水溝など凹凸がある部分は洗浄不足になる可能性があります。こうした部分には、乾いてからアルコールスプレーなどを用いることが有効です。
- 飛び散った水滴はしっかり拭き取り、使用したふきんは定期的に煮沸したり塩素系漂白剤などで清潔にしましょう。
ポイント3. サラダなど生で食べる食品を先に調理する
- シンクが食中毒菌で汚染される前に、生で食べる食品を切ったり洗ったりすることで、菌が付かないようにします。
- 魚介類や生肉に使用した包丁やまな板をシンクの中に洗わずに置いておくと、そこから菌が移ってしまう可能性があるので要注意です。
※せっかくシンクを清潔にして気を付けても…
調理を行う私たちの「手」は、意外にも食中毒菌の温床になっている可能性があります。調理前にはしっかりと手を洗いましょう。
<暮らしに役立つ検査・手洗い編>