キッチン周りの衛生管理
~包丁編~
包丁は、いろいろな食材に何回も触れるため、細菌が付きやすい調理器具とも言えます。どのくらい細菌が付いているのか調べたら、意外な場所に細菌が多く残っていました。包丁の効果的な殺菌方法とともにお伝えします。
包丁は「柄」も汚れます
一般のご家庭の包丁をお借りして、包丁に付いている細菌数を調べてみました。以下の表は、包丁10平方センチメートルあたりの細菌数を示しています。お借りした包丁は、ご家庭でいつも通り洗浄したあとのものです。
10平方センチメートルあたりの細菌数
調査結果より
調べた包丁は、洗浄後のものでしたが、すべての包丁から細菌が検出されました。どの包丁の細菌数も、刃より柄の部分の方が多い結果となっています。 この結果は、ご家庭での洗浄では、特に刃の部分に気をつけて、しっかり洗浄されているためだと思われます。 逆に、柄の部分はおろそかになりがちなので、注意が必要です。柄は食材を触った手で握ることが多いので、意外と汚れています。包丁の柄を介して他の食品に汚染させないように、柄の部分もしっかりと洗浄しましょう。
調理後の包丁は、柄の部分も含めしっかり洗浄しましょう。調理する食材が変わるたびに包丁を洗うと良いでしょう。包丁をこまめに洗うことは、切れ味を長く保つことにもつながります。
刃と柄の継ぎ目の部分は、特に洗いにくく汚れが残りやすくなっています。スポンジなどで入念に洗うか、難しい場合は歯ブラシなどを使って、きれいに洗うようにしましょう。
包丁の効果的な殺菌方法は?
包丁の効果的な殺菌方法の検証
実験方法
生肉を切った包丁を、次の①から③の順番に洗浄、殺菌して包丁の刃に残っている細菌数を調べてみました。
- 刃を流水で水洗いして、刃キッチペーパーで丁寧に拭く
- その後、食器洗い用洗剤を使用しスポンジで洗浄、室内で自然乾燥させる
- さらに、やかんで沸騰させたお湯を、5~6秒かけて片面ごと刃にかける
実験結果
実験結果より
肉を切った包丁の刃は、水洗いして拭いただけでは、一見きれいになっても、細菌はかなり残っています。 また、洗剤を使ってスポンジで洗浄しても、見た目の汚れなどはよく落ちますが、細菌数はあまり減らないようです。 今回の実験より、細菌をやっつけるためには、熱湯による殺菌方法がとても有効であることが分かりました。 熱湯を刃にかけることによって、刃に残っている細菌はいなくなり、しっかり殺菌できていることが検証できました。
包丁の刃は、お手入れの最後に熱湯殺菌することで、蒸発し乾きやすくなります。
素早く乾燥させることにより、細菌の繁殖を防ぐことができます。