暮らしに役立つ情報

キッチン周りの衛生管理
~まな板編~

まな板は調理中に色々な食材が触れる調理器具です。だからこそ、食材にもともとついていた細菌を別の食材に移してしまう原因になることもあります。例えば、加熱用の肉を切ったまな板で、生食用の野菜を切ったりすると、肉についていた食中毒菌が野菜に移ってしまう場合があります。実際に、まな板を介して別の食材から食中毒菌を付けてしまい、食中毒事件につながった事例もあります。
まな板の細菌を調べた結果と、衛生的に管理するためのお手入れついてお伝えします。

まな板に残っている細菌数

生肉を切った後のまな板と、使用前(洗浄後乾燥させていたもの)の細菌数を測定しました。肉を切った後のまな板には、10平方センチメートルあたり31,000個の細菌が確認され、使用前のまな板にも10平方センチメートルあたり20~30個ほどの細菌が確認できました。(※10平方センチメートルあたりの細菌数30個は、軽度の汚染とされています)

日ごろのお手入れでの注意点

<注意点①>キズ目にそってブラシ

まな板には、包丁によってどうしてもキズ目ができます。 そのキズ目の奥に汚れが入りこみ細菌が繁殖しやすくなっています。 そのため、洗浄時にはキズ目にそってブラシをかけてください。 キズ目の洗浄はスポンジよりブラシの方が効果的です。


<注意点②>早く乾燥させる

乾燥した状態では、細菌はほとんど増えることができないので、洗浄後のまな板は、早く完全に乾燥させることが重要です。 日光にあてて乾燥させると紫外線の殺菌効果も期待できるのですが、ホコリや雨、鳥のフンなどがつくようでは逆効果になるので、注意が必要です。まな板を使った後は、すぐに洗浄してしっかり乾燥させることを習慣化させましょう。また、湿気が残らないように、風通しの良いところで、立てて保管しましょう。

まな板の効果的な殺菌方法は?

どのようにしたら、まな板は効果的に殺菌できるのでしょうか?熱湯と漂白剤によるものと、2つの殺菌方法を試してみました。

熱湯による殺菌

やかんにて沸騰させたお湯をかける熱湯殺菌(約10秒)

殺菌数は、10平方センチメートルあたり21個→0個に減少

 

熱湯殺菌は、効果的なことがわかります。

熱湯殺菌の注意点
  1. まな板に熱湯がかかる時間を長くする
    熱湯をかけて細菌が生きていられない温度に上げることがポイントです。 さっとかけただけでは、すぐにまな板の温度が下がってしまい、効果が下がってしまいます。たっぷりのお湯で時間をかけて流してください。
  2. まな板をしっかり洗浄してから熱湯をかける
    汚れが残ったまま熱湯をかけると、付いていた食品成分などが固まってしまってとれにくくなります。 温度が下がった時に、細菌が増えやすい場所を作ってしまうことになります。

注意点を守り、やけどに気をつけて殺菌してください。



塩素系漂白剤による殺菌

実験方法

塩素系漂白剤をよく浸み込ませたふきんによる殺菌(約5分間)

殺菌数は、10平方センチメートルあたり29個→1個に減少

塩素系漂白剤による殺菌も効果的なことがわかりました。
注意点は、

  • 塩素系漂白剤は有効な濃度が決まっています。表示をよく見て使用しましょう。また、塩素系漂白剤の濃度が薄まらないように、まな板の水をよく切ってから殺菌しましょう。
  • 酸性のものと合わさると、塩素ガスが発生し、危険です。酢や果汁、酸性の洗剤と混ざらないように気をつけましょう。

肉や魚などの加熱用と野菜や果物のそのまま食べるもの用と、2枚のまな板を使い分けるのが理想です。 難しい場合は、野菜・果物→肉・魚の順で調理したり、肉魚用には使い捨てのまな板シートや牛乳パックを開いたものを利用するなど、工夫してもいいですね。