意外と身近な問題
「食品へのにおい移り」を実験してみました
常備しておきたい食品や、特売でお得に購入したものがパントリーに入りきらなかった時、クローゼットに借り置きすることありませんか? ストック食材の保管場所はいつも悩ましいものですが、場所によっては他のものの臭いが移ってしまうことがあり、いつもと違う?と感じることもあるようです。 今回は、検査センターでの再現実験の様子をお知らせします。
におい移りの実験
常温で一カ月程度保管できるパンを、防虫剤が近くにある状態で保管したら、そのにおいは移ってしまうのでしょうか。 実験は、個包装されたパンと防虫剤を大きなビニール袋の中に互いに触れ合わないように置いたものを準備し、数日保管した後に何人かでにおいを確認しました。
保管後1日目 | 保管後3日目 | 保管後8日目 | |
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においを感じた人 | 1人(3人中) | 2人(4人中) | 2人(3人中) |
感じ方 | ツーンとしたにおい | 刺激臭 | 薬品臭 |
感じた強さ | 弱い | 弱い | においをしっかり感じ取れる強さ |
実験を始めた次の日ににおいを確かめた際には、かすかなにおいを感じるか感じないか、の程度でしたが、8日後にはしっかりとしたにおいが感じ取れるようになっています。 においの感じ方には個人差があるため、感じやすい人そうでない人さまざまですが、におい移りが感じられることがわかります。
個包装でも安心しないで。
今回実験に使ったパンは、個包装されたものでした。パンにはにおいが移りやすそう、と想像がつくけれど、個包装されていれば大丈夫じゃないの? と思ってしまいがちですが、包装の素材によって、またにおいの成分によっては、においの粒子を取り込んでしまう場合もあります。 薄いフィルムでは、ほこりや水分などは防ぐことができても、においは移ってしまうかもしれません。
におい移りは、今回の例のほかにも長期保存できるラーメンやお米、小麦粉などの粉物類、砂糖などで事例があります。 冷蔵庫の中でも牛乳などにおいの移りやすい食材に、キムチなどの強いにおいが移ってしまうこともあります。 また最近では、生活の中で気になるにおいを抑えるための柔軟剤やスプレーなどに芳香剤が使用されることも多く、家庭の中にあるにおい成分は思っているより多種にわたります。 せっかくの食材を無駄にしないためにも、置き場所や保存容器に気をつけると良いですね。
におい移り防止のために
- 防虫剤や洗剤など、香りの付いているものの近くに長期保存の食品を置かない。
- 包装のポリ袋もにおいが通過する可能性がある。
- 冷蔵庫の中でも、においの強い食品は密閉容器に保管する。薄いポリ袋やラップではにおいが通過する可能性があるので、厚手のポリ容器やガラス容器などがお勧めです。