食品添加物リン酸塩は身体に悪いって本当?
2023年9月4週(39号)「食品添加物のリン酸塩で骨がもろくなる」「リン酸塩を摂りすぎている」と聞いたことのある方もいるかもしれません。リン酸塩に含まれるリンの過剰摂取はカルシウムの吸収阻害などの原因になりますが、私たちは「過剰」に摂取しているのでしょうか。
リンは必要なミネラルのひとつ
リンは体内に存在するミネラルの中でカルシウムの次に多く、骨や歯の構成成分や生命の維持、活動のために重要な役割を果たしています。肉や卵、魚介類、牛乳・乳製品など、大半の食品に含まれているため、通常不足することはありません。
食品添加物としてのリン酸塩
約20種類のリン酸塩が食品添加物として使用が認められており、食肉加工品や魚肉練り製品、チーズ、めん類などに使用されています。例えば、ハムやソーセージなどの結着剤として使用される場合は、保水性を高め弾力があり軟らかい食感にする目的で使われます。
実際のリンの摂取量と食品添加物の関係は?
リンの過剰摂取の目安となる、「毎日これ以上の量を摂り続けると健康に影響が出てくる恐れが高まる量(一日あたりの耐用上限量)」は3000mgです。これに対し実際のリンの一日当たりの平均摂取量は、男性1079mg、女性942mgと、大きく下回っています(令和元年 国民健康・栄養調査による)。
また、加工食品から平均248mg摂取しているとの調査もありますが、そのうちのほとんどが加工食品の原材料として使用されている食品に含まれていたものです。食品添加物に由来するリンは少なく、全体の摂取量に対しても数%と、わずかです。食品添加物のリン酸塩を摂らないようにしても、リン摂取量への影響はほとんどありません。もちろん偏った食生活をすることで過剰摂取となる可能性もありますが、その場合は食塩の過剰摂取や栄養バランスの悪さの方が問題になりそうです。
一般的な食事をしていれば問題ありませんので、他の食品との栄養素と併せて、バランスの良い食事を心がけましょう。