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欧米の規制と違うのは何故?トランス脂肪酸のお話

2022年8月5週(35号)

「トランス脂肪酸」はマーガリンを製造するときに、不純物としてできてしまうことのある成分です。「トランス脂肪酸」は善玉コレステロールを減らし、悪玉コレステロールを増やすため、多く摂ると心疾患のリスクが高まると言われていて、欧米では規制を強めています。時々日本の規制が緩いのでは?との情報が取り上げられることもあり、不安に感じていらっしゃる方も多いようです。今回はトランス脂肪酸の規制が日本と欧米で違う理由をお知らせします。

欧米と日本で規制が違う理由は?

WHOでは、心疾患のリスクを減らすためにトランス脂肪酸を摂る量を、私たちが摂る総エネルギーの1%未満に抑えるように、と提示しています。
実際の摂取量を見ると、日本人は0.3%程度に抑えられているのに対し、米国人は2.2%となっています。この差が、欧米諸国と日本で規制が違うことの理由です。日本では、普通の食生活を送っていればトランス脂肪酸については問題なく、近頃摂取量が増えている油脂(特に飽和脂肪酸)に注意が呼びかけられています。一方、欧米では油脂の摂り過ぎへの注意喚起程度ではWHOの提示値を下回ることが難しいため、トランス脂肪酸自体の規制を強める対策をとっています。

トランス脂肪酸だけに気を取られないで…

トランス脂肪酸は、心疾患のリスクを増やす要因の一つかもしれませんが「とにかくトランス脂肪酸だけを排除すればそれでよい」ということではありません。トランス脂肪酸の規制を強めている米国でも消費者に対して、トランス脂肪酸だけでなく飽和脂肪酸(バターやラードなど、主に常温で固体の油脂)についても摂りすぎないように呼び掛けています。
日本人の食生活では、飽和脂肪酸についても欧米より摂取量が少ないことが知られていますが、増加傾向にあり注意する必要があります。トランス脂肪酸を減らすことに気を取られて他の脂肪酸の摂取が増えてしまう、などということではなく、普段の食事で脂肪を適切な量を摂ること、を意識することが大切です。

また、COOPのマーガリンもトランス脂肪酸を低減する対策を進めていますので、ご安心ください。