アニサキスによる食中毒を予防するために
2021年4月1週(14号)細菌やウイルス以外にも、寄生虫が原因となる食中毒も意外に多く発生しています。寄生虫と聞くと人間のお腹にいるものを想像しがちですが、魚介類などに寄生しているものが食中毒の原因となることもあります。今回は、魚の寄生虫のひとつ、アニサキスによる食中毒の現状と予防のポイントをご紹介します。
寄生虫による食中毒患者数の推移
寄生虫による食中毒は大規模な事件ではなく、家庭を含む小さな集団の発生が多いことから家庭での対策も重要です。なかでもアニサキスによる食中毒は、寄生虫による食中毒の63%を占めており、令和元年では336人の患者数が報告されています。
アニサキスによる食中毒は増加傾向にあります。これは近年、流通や冷蔵技術の発達により、広域に生鮮魚介類が輸送されることになり、冷蔵の魚介類を生食する機会も増えたためと考えられています。
アニサキス食中毒の予防のポイント
- 予防方法1:加熱する(70℃以上、または60℃なら1分)
- 細菌による食中毒予防と同じで、加熱調理が最も有効な方法です。アニサキスは70℃以上で瞬時に、60℃なら1分間で死滅します。
- 予防方法2:冷凍する(−20℃で24時間以上)
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アニサキスは、冷凍(−20℃で24時間以上)しても死滅することが知られています。冷凍で流通・販売されている魚介類は、アニサキスが寄生していたとしても死滅しています。(凍結して死滅したアニサキスは解凍しても安全です)
家庭用の冷凍庫では、温度が-20℃まで下がり難く、ドアの開閉などで温度が一定にならないことがあるのでご注意ください。
アニサキスは毒素を出すわけではないので、目視でしっかり取り除くことができれば問題ありません。
酢漬けや塩漬けでは食中毒の予防にはならないのでご注意ください。