おいしくって安全なおはなし

ジャガイモによる食中毒を予防するために

2021年2月1週(5号)

有毒植物による食中毒で最も多くの患者が出ているのは、意外にも身近な食材であるジャガイモによるものです。夏に多く報告されますが、11月~2月の寒い時期にも発生しており、注意が必要です。今回はジャガイモの食中毒に関するお話です。

多発しているジャガイモによる食中毒

過去10年間に報告された有毒植物による食中毒の患者数の累計を見ると、圧倒的にジャガイモによる患者数が多くなっています。ジャガイモには、もともと天然毒素であるソラニンが微量に含まれています。ソラニンは熱に強いため加熱調理してもなくなりません。特に家庭菜園や小学校などで栽培されたジャガイモは、未熟だったり取扱いが悪かったりして天然毒素が多く含まれていることがあり、思わぬ食中毒につながっているようです。市販で流通しているジャガイモに関しては、それほど心配する必要もありませんが、ご家庭でも調理方法や保管方法に関してご注意いただきたい点があります。

過去10年間の有毒植物による食中毒発生状況(平成22年〜令和元年)
植物名 患者数(人) 主な原因
ジャガイモ 327 発芽部や緑色の皮の部分に多く含まれるソラニンなどの有害成分を多く食べることによって発生
スイセン 195 ニラ、ノビル、タマネギと誤食
チョウセンアサガオ 41 ゴボウ、オクラ、モロヘイヤ、アシタバ、ゴマと誤食
バイケイソウ 33 オオバギボウシ、ギョウジャニンニクと誤食
クワズイモ 30 サトイモと誤食

厚生労働省「有害植物による食中毒に注意しましょう」より

ジャガイモによる食中毒を予防するために

①調理するときの注意

毒素が含まれる芽(芽とその芽の根元)や皮を取り除く
ジャガイモの天然毒素は芽(芽とその芽の根元)の部分に多く含まれ、皮にも微量に存在しています。食中毒予防には、これらの部分を十分に取り除くことが大切です。子どもは少ない量で中毒になるおそれもあるため、できるだけ皮も取り除いて調理した方が良いでしょう。特に緑色に変色した皮は、毒素が増えているサインになります。ジャガイモに緑色の部分があったら、皮を厚めにむき、芽や緑色の部分だけでなく、そのまわりの部分も多めに取り除きましょう。中まで緑色になっていたら、食べるのをやめましょう。

②保管するときの注意

毒素を増やさないために光に当てない
収穫後のジャガイモは光が当たることで芽が出たり、毒素が増えて皮が緑色になったりします。日光でも蛍光灯の光でも同じですので、保管の際は、新聞紙や紙袋に包むなどして光が当たらないようにしましょう。冷蔵庫に入れる必要はありませんが、20℃以上になると発芽、腐敗しやすくなりますので、10℃ぐらいの涼しい場所が良いでしょう。