おいしくって安全なおはなし

食中毒を予防するための3つの原則

2020年7月4週(29号)

梅雨時から夏場にかけては食中毒が発生しやすい時期になります。食中毒は家庭でも発生しており、食品の見た目や味やニオイでは分からないものです。食中毒予防には細菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」の3つの原則が大切です。今回は3つの原則についてそれぞれのポイントをお伝えします。

原則1:「つけない」ためには → 手洗い

細菌は手を介して食品や調理器具に移ることが多く、何よりも手洗いが重要になります。調理の前、生ものにさわった後、食事の前、トイレの後は必ず手を洗う習慣をつけましょう。
ウイルスを使った手洗いの実験では手に付いたウイルス(汚れや細菌)を洗い流すには、2度洗いが有効のようです。特に気をつけたい場面では2度洗いを心がけましょう。

手洗いの時間・回数による効果
手洗いの方法 残っていたウイルス数 手洗いなしと比較した割合
手洗いなし 約1,000,000個
流水で15秒手洗い 約10,000個 約100分の1
ハンドソープで10秒もみ洗い後、流水で15秒すすぐ 約100個 約10,000分の1
ハンドソープで60秒もみ洗い後、流水で15秒すすぐ 約10個 約100,000分の1
「ハンドソープで10秒もみ洗い後、流水で15秒すすぐ」を2回繰り返す 約数個 約1,000,000分の1

出典:森功次他,感染症学雑誌、 80:496-500,2006

原則2:「増やさない」ためには → 保存温度と時間

食品についた細菌は、時間とともに急激に増えていきます。細菌を増やさないためには、保存温度と時間に注意する必要があります。増殖の速い食中毒菌の「腸炎ビブリオ」などは、たった1匹がお刺身についただけでも、温度など条件が揃えば3時間未満で食中毒になる菌数まで増えることができるようです。このように急激に増殖する細菌も冷蔵庫内(10℃以下)では増殖がゆっくりとなり、冷凍庫内(マイナス15℃以下)ではほとんど増殖しません。
できるだけ低温で保存して、なるべく早く食べきることを心がけてください。

原則3:「やっつける」ためには → 加熱

細菌やウイルスは熱に弱いので、十分に加熱することでやっつけることができます。夏場には、肉の加熱不足による食中毒も多く発生します。肉はよく火を通すようにしてください。
生肉などを扱った、まな板や包丁などの調理器具にも細菌やウイルスがついているおそれがあります。生肉などを使った後の調理器具は、洗剤でよく洗ってから熱湯をかけることにより効果的に殺菌できます。