おいしくって安全なおはなし

お好み焼き粉などに潜むアレルギーのお話

2019年3月1週(10号)

これまで食品でアレルギーを発症したことがない方が、自宅でつくったお好み焼きやホットケーキを食べて、アレルギーを起こす事例が報告されています。いったい何が原因だったのでしょうか?

原因は?

実はアレルギーの原因はダニでした。粉製品を開封すると、隙間からダニが侵入する可能性があります。 ダニは体長が0.3~0.5mmと非常に小さいため、開封部分を折り曲げて輪ゴムやクリップなどで閉じていても、隙間を通り抜け侵入できます。 白っぽい粉物の中に同じような色の小さなダニが入っていても見つけにくく、そのまま放置してしまうようです。

なぜお好み焼き粉?

小麦粉や片栗粉などに比べ、ホットケーキミックスやお好み焼き粉などには、ダニにとっても栄養となる成分が多く含まれています。また、キッチンの収納棚などに常温で保管されていることが多いため、栄養・湿度・温度ともにダニの繁殖に適した条件となります。 そのため、一旦ダニの侵入を許してしまうと、栄養豊富な粉の中で、爆発的に繁殖するおそれがあります。

対策は?

ホットケーキミックスやお好み焼き粉などは、開封したらできるだけ早く使い切ることを心がけましょう。 多くの分量を使えない場合には、個包装されたものをお勧めします。 保管の必要がある時には、密閉容器に入れてダニの侵入を防ぎましょう。タッパーなどで密閉することで、湿気やにおい移りも防げます。 ダニは低温(10℃未満)では繁殖できないので、可能なら冷蔵または冷凍できれば万全です。

繁殖したダニは調理時の加熱で簡単に死んでしまいますが、ダニに含まれるアレルギーの原因物質は熱に強いのが特徴です。 これらの物質によるアレルギーの発症は国内でも報告されています。(海外ではパンケーキでの発症が多いため「パンケーキシンドローム」と呼ばれています。)
深刻な場合には、血圧低下や呼吸困難、意識低下などアナフィラキシーショックに陥ることもあるため、注意が必要です。