身近な植物による食中毒に注意しましょう
2016年2月4週(8号)春になると暖かくなり、植物が芽吹く季節になります。自然界には有毒な成分を含む植物が存在し、それを誤って食べてしまい食中毒が起こる事があります。 こういった自然毒(自然界にある毒)による食中毒件数は、少ないものの死亡者がでたり重篤な患者が多かったりするのが特徴です。 自然毒には、植物性(キノコや有害植物)のものと動物性(フグ毒や貝毒など)のものがありますが、今回は植物性自然毒についてお話します。
ニラと間違えやすいスイセン
スイセンは家庭でもよく植えられていることもあり身近な植物です。 このスイセンの葉とニラの葉がよく似ている事もあり、誤食によって食中毒が起きています。 スイセンはリコリンという有毒物質を持っており、嘔吐、胃腸炎、下痢といった症状が現れます。一番の見分け方は臭いです。 スイセンの葉にはニラ特有の臭いがありません。野生のニラを採る時は、必ず臭いを確認しましょう。また、野生のニラの中にスイセンが混ざって生えていることがあります。 他より際立って大きいものは採るのは止めましょう。スイセンはニラに比べ、葉の幅が広い、草丈が高い、葉が厚いなど特徴もあります。
行者ニンニク、玉ねぎなどと間違えやすいイヌサフラン
イヌサフランは園芸植物として広く植えられている球根植物です。コルヒチンという有毒物質を持ち、嘔吐や下痢などの症状があり重症の場合は死亡する場合もあります。 平成26年、27年はイヌサフランによる食中毒で死者がでています。 イヌサフランの葉が行者ニンニクに、球根がニンニク、玉ねぎ、じゃが芋に間違えられ、これらの誤食は球根が出回る秋頃、葉は開花後に出るので春頃に起こります。 見分ける方法としては、行者ニンニクの芽は、葉が1~2枚ですが、イヌサフランの芽は、葉が多数重なり合っています。
じゃが芋
植物性自然毒としては身近な野菜であるじゃが芋も、芽や日光にあたって緑色に変色した部分や未熟で小さなものにはソラニンという有毒物質が含まれています。 加熱しても分解しないので、芽や緑色の部分は取り除く、小さく未熟なものは食べないようにしましょう。
植物性自然毒の食中毒は、以前は山菜摘みやハイキングなどで採ってきたもので起きることが多かったのですが、最近は庭に植えた(生えた)観賞用植物や野草を誤食して起きるケースも増えています。 家庭内で栽培した覚えのないものは食べない、山などでも素人判断で採らない、食べない、人にあげないようにして、植物性自然毒による食中毒を防ぎましょう。