おいしくって安全なおはなし

ヒスタミン食中毒~温度と微生物の関係~

2015年9月2週(36号)

ヒスタミン食中毒をご存じですか?ヒスタミンという化学物質が原因で、食後30~60分くらいで顔や口の周り、耳たぶが紅潮し、頭痛、蕁麻疹、発熱などの症状がでます。
重症になる事は少なく、たいていは6~10時間で回復します。近年こういったアレルギーの様な食中毒が増えています。アレルギーの様とは言っても、誰にでも起こりうる食中毒です。

ヒスタミンはどうしてつくられるのか?

ヒスタミン食中毒が起こっているのは、赤身魚(マグロ、カツオ、サバ、サンマなど)に多く、こういった魚は体内にヒスチジンというアミノ酸を多く持っています。
そのヒスチジンが魚についている特定の細菌によって、ヒスタミンに変化させられてしまうのです。

つまり食中毒を引き起こすのは化学物質ですが、原因は細菌にあるというわけです。適度な温度になると魚に付着したこの菌が増えてヒスタミンをつくり、食中毒を起こしてしまうのです。
ヒスタミンは、一度できてしまうと加熱しても壊れないため、まずはヒスタミンが増えないようにすることが大切です。

家庭でヒスタミン食中毒を予防するには?

ヒスタミンの原因は細菌なので、一般的な微生物による食中毒の予防法が有効です。丸ごと買った魚では、表面をよく洗い、魚の表面が付着したまな板などはよく洗って次の作業に移りましょう。 また、低温での管理が重要です。購入したらすぐに冷蔵庫に入れ、冷凍の魚を解凍する時は、常温ではなく冷蔵で行いましょう。 ただし、ヒスタミンをつくる菌の中には低温中でも増えることのできる菌もいるため、冷蔵庫を過信せずなるべく早く食べるようにしましょう。

生協商品は?

加工工程が多いほどヒスタミンがつくられる可能性が高くなるため、東海コープでは加工品のヒスタミン検査を主に実施しています。 しかしヒスタミンの生成には個体差があるため、製造後の検査を行えば全てのヒスタミン食中毒を防げるというわけではありません。 そのため、まずは工場の点検や流通時の温度管理を徹底し、さらに微生物の検査を行い衛生状態の確認をすることで、ヒスタミンによる食中毒を防ぐようにしています。